第17回ダーモスコピー勉強会に参加してきました
参議院選挙前の日曜日、ダーモスコピー勉強会に参加してきました。会場はお堀や高級ホテルにもほど近い赤坂の佐藤製薬本社ビルです。以前当クリニックの担当だったMR(医薬品情報提供者)のN君に出迎えてもらい、「元気にしてる?」などと挨拶を交わしながら会場に案内してもらいます。
ダーモスコピーは偏光レンズやゼリーを用いて、皮膚表面の反射を抑えることにより皮膚のやや深いところまで観察できる診断法で特に足の裏のほくろなどの色の付いた皮膚病変が良性かそれとも少しでも悪性の疑いがあるかの診断に欠かせません。当クリニックではハンディ型とカメラ型の2台の機器を日々の診療に使っていますが、その診断力を保つためには継続的な勉強が必要です。定期的に参考書を読み直していますが、勉強会への会場参加はそのモチベーションにもつながっています(実はこの勉強会はオンラインでも見られるのですが)。
トップバッターは杏林大学に移られたT先生。ダーモスコピーでなぜそのような色や形に見えてくるのか、その意味を原理から考えることを大事にされる先生で私もファンです。今回もなるほどと思えることが多く、先生の書かれた教科書を改めて読み直すことにしました。2番手は若手ながら日本におけるダーモスコピーの標準的な教科書の共著書である知り合いのK先生。最近大学を離れて開業され、ダーモスコピーをいぼ(ゆうぜい)や水いぼ(伝染性軟属腫)、異汗性湿疹などの診断にも幅広く使っているようです。当クリニックでもとくにいぼの治癒判定に以前から使っていたため、発表後には話に花が咲きました。お昼を挟んで午後はやはり若手なのに第一人者である千葉大のT先生によるメラノーマ(ほくろのがん)に関する講演です。千葉大皮膚科はメラノーマの診断と治療に力を入れており、病棟は戦争のように慌ただしいそうですが、「もっと早く診断が付いていれば」というケースも多いそうでT先生は医師への啓蒙を重視しているようです。今回も豊富な経験から得た情報を伝えていただき、「そうなのか、それは気をつけないと」と勉強になりました。最後に虎の門病院の部長を長く務められたO先生による講演でした。O先生は教科書を何冊も書かれ、翻訳されたものは外国でも広く読まれているそうですが、講演でも他の先生とは違った切り口でたくさんの症例写真を提示されました。こちらも先生の教科書を見直しです。
この勉強会は、それぞれがダーモスコピーの教科書を著すほどの専門の先生達が一堂に会してのものなのですが、この領域をもっと普及発展させていきたいという同志意識のようなものが感じられて、意見が異なっても対立するのではなく教え合うようなとてもいい雰囲気です。佐藤製薬(ユンケルで有名ですが)は、皮膚科領域ではダーモスコピーとはあまり関係の無い薬(爪白癬の薬やステロイド外用剤など)を扱っているのですが、毎年日曜日に会場や人員を提供してくれて感謝です。勉強会が終わり千葉に帰ってきたのは夕方でしたが充実した1日でした。また来年。
