花粉ー食物アレルギー症候群(PFAS)
特定のものを食べた15分から1時間以内に、口の中の痒みやピリピリした刺激感あるいは喉の閉塞感が出るようなものを口腔アレルギー症候群といいます。重症例では蕁麻疹や喘息、さらにはアナフィラキシーショックまで至ることがあります。さらにその中で、木や草の花粉に対する花粉アレルギーが原因であるものが含まれており、「花粉-食物アレルギー症候群」と呼ばれています。花粉と特定の果物や野菜、まれにはカレーのスパイスなどとアレルギーの元となる物質(アレルゲン)の構造が似ていることによるものです。
日本で一番多いのはシラカバ(北海道や長野)やハンノキ(本州全域)などのカバノキ科の花粉に対するアレルギーが原因となるPFASで、それらに花粉アレルギーのある人の一部(70%くらい)でリンゴ、サクランボ、モモ、ビワなどのバラ科の果物やキウイフルーツ、大豆(豆乳や豆腐を含む)などを食べたときに口の中の痒みをはじめとする口腔アレルギー症状がでることがあります。
国内で次に多いのがイネ科の植物やブタクサ、ヨモギの花粉アレルギーのある人のPFASで、それらの患者さんのごく一部ですがメロン、スイカなどのウリ科の野菜(果物)、アボカド、バナナ、カレースパイスに口腔アレルギーを発症することがあります。
PFASはその原因となる花粉が多量に飛ぶ季節に悪くなることが多いと言われます。例えば、カバノキ科のPFASでは4〜6月、イネ科では5〜6月と8月末〜9月ころ、ブタクサやヨモギは9〜10月頃の症状が悪くなることが多く注意が必要です。
また、モモを食べた後まぶたが腫れるような症状が出た場合は特に要注意です。原因となる花粉はまだはっきりわかっていないのですが、アナフィラキシーショックを起こしやすいこと、ジャムなどの加熱食品や梅干しでも症状が出ることなどから、食事制限が必要なことがあります。
果物や大豆製品を食べた後に症状が出た場合、当クリニックでは疑わしい食べ物および原因となり得る花粉へのアレルギーが無いか血液検査を行い、疑わしい場合は大学病院などに紹介して詳しい検査を依頼します。